レーザー治療

日本で認可されている歯科用のレーザーは主に4種類あります。

南林歯科クリニックではより精度の高い最新の治療を患者様にご提供するため、CO2(炭酸ガス)レーザー、Nd:YAG(ナオジウムヤグ)レーザー、ダイオード(半導体)レーザーを導入しております。

これらのレーザーは波長の長さが異なるため、それぞれの特長を活かし、治療内容によって使用するレーザーを使い分け、さまざまな治療に活用しています。

1.虫歯予防(耐酸性の亢進作用)

ハードレーザーを歯の表面に照射すると、瞬時に融解(メルチィング)が生じます。この融解(メルチィング)層は強い耐酸性を持つことから、歯の表面にレーザーを照射すると虫歯予防効果が得られます。
歯の噛む面(咬合面)には、小窩裂溝という多数の溝があり、図のようにどうしても清掃できない所があります。そのために小窩裂溝は虫歯に成り易いのです。
そこで、小窩裂溝内にレーザーを照射することで、殺菌、消毒、耐酸性の亢進を行い、さらに、レーザーエッチング後フッ素含有のシーラント(小窩裂溝塡塞法)を施せば、殆ど虫歯は防げます。

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治療中

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レーザー照射直後

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シーラント治療後

2.虫歯治療

ハードレーザーの硬組織の蒸散作用を用いて、虫歯菌に犯された歯の軟化牙質を選択的に除去します。この時、小さな虫歯ならレーザーの麻酔効果によって、殆どの場合痛みはありません。さらに、レーザーによる耐酸性の亢進作用によって二次カリエス(虫歯の再発)が予防されます。
窩洞(削り取った穴)に歯と同色のレジンを詰める治療の場合、接着を良くするため酸処理(エッチング)を施しますが、レーザーエッチングを用いれば、酸を使う必要がなくなります。また、虫歯が歯肉に接近しているケースでは、治療の際、歯肉を一部切除する必要があります。ハードレーザーを用いれば、無麻酔下で出血させずに切除することができ、大変綺麗に詰めることができます。

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歯肉縁下に虫歯が隠れています

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レーザーで歯肉整形して虫歯を削ります

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レジン充填後

3.歯周病(歯槽膿漏)治療

歯周治療は、ブラッシングによるプラークの徹底的な除去が最重要です。しかし、歯肉の炎症が著しいケースでは、腫れと痛みによってうまくブラッシングができないことがあります。このようなケースにハードレーザーを照射し、ハードレーザーの治療効果(殺菌、消毒作用・鎮痛、消炎作用・創傷の治癒促進作用)によって、まず歯肉の炎症を軽減させます。これによって、患者さんへのブラッシング指導の導入が容易になります。
次の段階として、歯石の除去とルートプレーニングを行います。その際、ハードレーザーをポケット内に照射すると、歯石除去が容易になります。また、歯石の付着した根面のセメント質には、歯周病原性細菌由来の内毒素(エンドトキシン)が表層10μm程度浸透しており、それを残しておくことは再生治癒の妨げになります。通常はルートプレーニングによって機械的に除去しますが、その操作には熟練を要し困難な作業です。ハードレーザーの根面への照射により内毒素も蒸散することから根面処理の確実性が得られます。
また、根分岐部は解剖学的形態から機械的除去が不可能なケースもあり、ハードレーザー照射が有効です。
以上、ハードレーザーの歯周組織への照射の効果は、患者さんの苦痛を和らげ、従来の治療法ではなかなか効果が得にくかったケースに有用性が認められることです。また、なんと言っても歯周組織細胞の賦活化が得られ、治療期間の短縮が可能になったことが最大の福音です。

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歯肉が腫れています

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レーザー照射

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治療1週間後

4.小帯切除

ハードレーザーを用いて小帯切除を行えば、レーザーの治療効果(創傷の治癒促進作用・組織の止血、熱凝固作用・鎮痛、消炎作用)によって、術中は殆ど出血せず、術後の痛みや腫れも少なく、治りも早く良好な結果が得られます。

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術前

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レーザーで切開

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治療10日後

5.口内炎

誰もが経験する口内炎は大変痛く不快な症状が約7日間以上持続します。そのような口内炎にハードレーザーを照射すると、2~3日で自覚症状はなくなります。患者さんによっては1日で痛みが止まったケースもあります。

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術前

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墨を塗布してレーザー照射

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照射直後

6.知覚過敏症

著しい咬耗や歯肉退縮による象牙質知覚過敏症においてもハードレーザーは大変有効です。通常、1~3回の照射で痛みがとれ、持続性があります。

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墨を塗布してレーザー照射

7.根管治療

当医院のNd:YAGレーザーは、石英ファイバーによりレーザー光が伝送されるシステムを採用しています。この石英ファイバーは200~400μmと細いことから、直接根管内に挿入したり瘻孔から挿入して直接根尖病巣にレーザー光を照射することが可能です。
レーザーの殺菌・消毒作用や蒸散・熱凝固作用を用い、根管側枝や根尖分岐部に残存する歯髄組織や細菌を蒸散させ、根管充填時の乾燥も同時に行います。
根尖部へのレーザー照射あるいは瘻孔からのアプローチによって、難治性の根尖性歯周炎の咬合痛や鈍痛が早期に消失します。

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治療前

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瘻孔へのレザー照射

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治療1ヶ月後

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治療前

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治療後

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根管にレーザー照射

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根管治療中

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根管治療直後

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治療7ヵ月後

8.歯の漂白

無髄歯(神経を取った歯)は時間の経過と共に暗褐色に変色することは良くあります。以前から無髄歯の漂白は行われており、比較的良好な結果が得られていました。しかし生活歯の薬物による変色や加齢による変色には余り良好な結果が得られませんでした。
最近、新しい漂白剤の開発とハードレーザーによるレーザーブリーチングの利用によって生活歯(神経を取っていない歯)への漂白が可能になりました。

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9.歯ぐきの黒ずみ(メラニン色素)の除去

健康な歯肉はピンク色を呈しています。しかし、人によっては歯肉の一部が黒くなっている場合があります。これはメラノサイトと言う細胞が黒い顆粒(メラノゾーム)を産生し、隣接する細胞に注入するために起こります。
Nd:YAGレーザーは色素依存性があり、黒色部に特にレーザーエネルギーが吸収されやすい性質があります。そこで、黒いメラノゾームに選択的にレーザーエネルギーが吸収され蒸散されるために、黒い色素が除去されます。

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術前

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 レーザー照射

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術後2週間

10.顎関節症

顎関節症とは『顎運動時の疼痛』『顎関節雑音』『顎運動異常』という三主徴を特色とし、顎関節部に著明な炎症症状が認められず、慢性に経過する症候群をいいます。
20歳代の女性に多く、咬合異常・ブラキシズム・ストレス・外傷・過度な開口や咀嚼等様々な要因があります。
顎関節症の治療には赤外線療法が昔から行われていました。当医院のNd:YAGレーザーは近赤外線のハードレーザーで、深部組織にまで到達性があることから、レーザー治療は効率の良い赤外線療法といえます。また神経に作用して麻酔効果や鎮痛消炎効果を生じることから、レーザーを顎関節部に照射すると、痛みや雑音が緩和され開口できるようになります。

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経穴(ツボ)にレーザーを照射

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レーザーとは

レーザー(Laser)とはLight Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字をとってできた合成語で、直訳すると「放射の誘導放出による光の増幅」となります。
歴史的には1905年A.アインシュタインの光量子説でその存在が予言され、その後1960年にS.メイマンにより、初めてルビーレーザーが発明されました。
レーザー光は人工的に作り出された光で、自然光とは異なる特性をもっています。
レーザー光の特性は波長と位相が規則正しくそろっていることです。それによって単色性(純粋な光)、指向性(拡散せず直進する光)、収束性(一点に集光)等の優れた性質がうまれます。以来、産業界は勿論、医科・歯科の分野でも応用が試みられています。

(1)レーザー装置

当院で使用しているNd:YAG(ネオジウムヤグ)レーザーです。
このレーザーは、発振源にYttrium・Aluminum・Garnet(A3Al3O12)結晶を母材として、Nd3+イオンを加えたものを使用しています。これから発生する光は波長1.06μmの近赤外線ハードレーザーです。レーザー光は石英ファイバーにより伝送されます。

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(2)レーザー治療

ハードレーザーの治療効果としては以下のものがあります。
1、 耐酸性の亢進作用
2、 軟組織の切開、切除作用
3、 創傷の治癒促進作用
4、 殺菌、消毒作用
5、 組織の止血、熱凝固作用
6、 硬組織の蒸散作用
7、 鎮痛、消炎作用
8、 歯の漂白促進作用
9、 メラニン色素の除去作用
このようなハードレーザーの多様な効果を利用して、歯科治療に応用されます。

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