「睡眠時無呼吸症候群」って?

睡眠時無呼吸症候群をご存知でしょうか?
1979年のスリーマイル島の原発事故
1983年のチェルノブイリ原発事故
1986年のスペースシャトル チャレンジャー号の爆発事故
1989年のアラスカ沖のタンカー座礁事故
2003年のJR山陽新幹線『ひかり126号』居眠り運転事故 など
睡眠時無呼吸症候群が原因とされています。

日本では睡眠時無呼吸症候群の患者さんは推定120万人以上と言われています。
さらに、『習慣性いびき』の患者さんは1600万人以上と言われています。
いびきをするだけとあなどっていると、重大な疾患を引き起こす原因になります。

睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrom)とは

睡眠時無呼吸症候群は、上気道の閉鎖による閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)、呼吸中枢の障害による中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)と、両方の混合した混合型睡眠時無呼吸症候群があります。
しかし、臨床的には閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断される患者さんが多いようです。

睡眠時無呼吸症候群の定義

7時間の睡眠中に10秒以上の呼吸停止が30回以上ある。あるいは、睡眠1時間あたり10秒以上の無呼吸あるいは低呼吸が5回以上ある場合

と定義されています。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群について

閉塞部位は上気道です。睡眠中は全身の筋肉と共に咀嚼筋や舌筋も弛緩するので、下顎や舌が咽頭方向に沈下し、咽頭腔を圧迫するので、睡眠中は起きているときよりも上気道が狭くなります。その状態に肥満による咽頭周囲の脂肪蓄積を伴うとさらに上気道は狭くなり、いびきが生じたり、上気道が閉塞して呼吸が止まりやすくなります。

閉塞性睡眠時無呼吸の最も一般的な症状はいびきで、ゼイゼイと息苦しそうにしたり、ときどき呼吸が止まったり、突然目を覚ましたりします。
呼吸が止まると体内の酸素が欠乏し、これを危険信号として脳が睡眠から脱して、咀嚼筋や咽頭周囲の筋活動をさせて気道を確保し呼吸を整えるため、十分に深い睡眠をとることができなくなります。

閉塞性睡眠時無呼吸が重症になると、睡眠中に上気道がふさがって窒息状態を繰り返すため、日中に居眠りが出るようになります。最終的には、居眠りで日中の仕事に支障が出るようになり、生活の質も落ちてしまいます。記憶力が悪くなったり、性衝動が減少したり、さらには人格まで変わってしまうこともあります。
閉塞性睡眠時無呼吸の人は動脈硬化を促進させ、生命に直接関わる脳血管障害(脳卒中)、高血圧、心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが高くなります。閉塞性睡眠時無呼吸の発作が1時間に20回以上起こる場合は、死亡のリスクが増大します。

 

症状と合併症

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有病率は30歳〜60歳の男性の4%、女性の2%といわれています。症状が軽い睡眠呼吸障害まで含めると実際の数はその5〜6倍といわれ、非常に高頻度な病気です。

<主な症状>
◆ひどいイビキ
◆無呼吸(家族から「時々息が止まっている」といわれる)
◆日中の過度の眠気(睡眠時間は十分とっているのに眠気がとれない)
◆倦怠感・集中力低下(仕事の能率低下やミスが増えた)
◆夜間の寝汗や頻尿
◆朝の頭重感
◆肥満
◆性的機能障害
◆性格の変化やうつ状態

日中の眠気と集中力低下は交通事故発生頻度を増加させます(健常者の7倍という報告があります)。

<主な合併症>
この睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置すると、さまざまな合併症を生じたり、その合併症の重症化をきたしやすくなることが明らかにされています。
主なものに、高血圧症、肺高血圧症、狭心症・心筋梗塞などの循環器疾患、脳卒中などの脳血管障害があります。
その他、うつ(鬱)や最近では脂質代謝や糖代謝に悪影響をおよぼし肥満を助長し糖尿病を悪化させることが明らかになりつつあります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査

睡眠障害に対する標準的な正しい検査法は、終夜睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)です。

これは、実際の睡眠時に、各種センサーをつけて一晩眠っていただき、睡眠中の脳波、眼電図、オトガイ筋電図により睡眠の段階と質を評価し、鼻腔内圧、胸部・腹部の呼吸運動、オキシメーターによる酸素飽和度の測定により呼吸異常を検出し、心電図により循環動態を、下肢の運動をみるための筋電図により周期性運動障害を評価する方法です。
センサーを装着して眠るだけですので、当然ながら痛みもありませんし危険性も全くありませんが、一晩の入院が必要です。
他にはPSGを簡略化した簡易型PSGやスクリーニング検査的にオキシメーターによる酸素飽和度の測定のみを行う方法があります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療

  • 持続陽圧気道圧(CPAP:シーパップ)療法
    鼻マスクをつけ機械によって空気を送り込むことで一定の圧をかけ、狭くなった気道を広げる方法。健康保険が適用されます。
  • マウスピース型の歯科装具(ORAP)
    マウスピースにより下顎を前方へ変位させ、上気道を拡大する方法
  • 耳鼻咽喉科的手術
    気道を狭めている扁桃やアデノイドの切除術。その他、口蓋垂軟口蓋形成術などの各種形成手術。

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